令和5年度以前の主な工事

【東院礼堂】塗装工事

 外部では下方を中心として風蝕(ふうしょく)や剥落、退色している箇所が多く見られました。内部では組入れ天井等の雨垂れ部に黒ずみの変色が見られました。それらを中心に、部分的に塗装の塗り替えを行いました。

塗装修理前塗装修理後

 

【東院礼堂】左官工事

 壁の漆喰(しっくい)塗は外部では剥落(はくらく)した塗装による汚損、内部ではカビの付着がみられました。上塗を解体し、中塗を補修した後、新しく上塗を行いました。

漆喰壁修理前漆喰壁修理後

 

【東院礼堂】亀腹補修

 亀腹(縁束の内側に設ける饅頭型の壇)は漆喰塗の剥落(はくらく)が多く見られたため、補修を行いました。

亀腹修理前亀腹修理後

 

【東院礼堂】縁の補修

 縁廻りは、縁板の隙や雨の吹き込みによる汚損が見られました。背面側隅部分では、廻廊屋根からの雨垂れにより縁板、隅扠首(すみさす)の一部で腐朽が生じていました。傷んだ縁板は解体し、隅扠首の補修や縁束の取替を行いました。

縁修理前縁修理後

縁腐朽ヶ所補修状況

  

【東院礼堂】屋根の葺替え

 法隆寺東院礼堂の屋根は瓦葺きですが、昭和10年の修理から80年以上が経過して、破損や葺土の劣化による緩みで、雨漏りが発生していました。解体工事で下ろした瓦は、1枚1枚状態を確認して、できる限り元の瓦を再利用しています。屋根の頂には、室町時代の鬼瓦を再び据え直しています。

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鬼瓦鬼瓦ヘラ書き

 使用されていた鬼瓦のうち、降棟南面東方鬼瓦には「ライタウノ クタリム子鬼瓦 文安三年丙刁 十一月廿五日」とヘラ書きがあり、瓦が室町時代に作られたことがわかります。

 

【東院礼堂】耐震補強

 指定文化財建造物では、建築基準法の適用が除外されていますが、人が出入りする建物については耐震性能を有していることが必要です。法隆寺東院礼堂は、四面に壁のない構造であり、非常に耐震性能が低い状況でした。文化財建造物の本来の形を保ちながら耐震性能を上げるために、耐震のための格子壁(木材を十字に組み合わせた格子でできた壁)を考案しました。建物に直接釘で取り付けるのではなく、格子壁側に付けた金具ではめ込む形で固定する方法を採用しました。金具を外せば元の状態に戻すこともできるため、古来の建物の形を後世につなげることになります。

格子壁取付後格子壁作成作業1

格子壁作成作業2

【東院廻廊】耐震補強

 礼堂同様、廻廊も人が出入りする建物です。そのため、耐震性能の調査を行いました。今回の耐震診断で、東院廻廊は耐震性を満たさないことが明らかになりました。現在、耐震補強を行うための案を検討しているところです。